先日、取引先が企画した震災支援ボランティアツアーに参加してきました。
行きたい、行かなきゃと思っていながらも、仕事の都合や例のグルグル病(→澤さんによってめまい症という病名を知る
)にかかったりで、エントリーすらできない状況だったのですが、この度やっと叶う運びとなりました。
といっても、木曜の夜にバスで出発して、金曜日朝から作業し、その日の夜に新幹線で帰ってくるというもの。滞在時間が短く、けっして胸を張って言えるものではないのですが…
逆に得たものが大きかったので、ここに書かせていただくことにします。
今回訪れたのは、仙台市若林区の農家。
津波被害を受けた畑のがれきを撤去するという目的でした。
大きながれきは昨年のうちに重機で取り除かれているものの、その際に踏みつけた小さなかけらが埋まってしまい、それを人力で取り除いていくのです。
スコップ持ってしゃがみ込んで、ひたすら土を掘り返していく地道な作業…コンクリートやガラスの破片、金属片は無数に出てきました。
40名ほどでコツコツコツコツ、ザクザク、ザクザク…足も肩も、明日はパンパンに腫れるであろうことを予想しながら、それでもみんな一所懸命にやっていました。
「全部終わらなくてもいい、続きは次の人達がまた行います」と、ボランティアリーダーの人がおっしゃっていた通り、帰ってから、ひと月前に同じ作業をした方のブログを見つけましたよ。
少しずつ、人から人へ。作業は続いていく。
たとえ一人の力がわずかであっても、次を受ける人がいれば、バケツリレーのように、その果ての目的地まで、きっと届いていく。
掘り起こしたものを分別していく作業もまた大変でした。
コンクリにガラス、割れた陶器、貝殻、看板のかけら…どこから来たのか考えると、思わず手を止めてしまうこともありました。
ごく日常的に存在していたもの。
あの日が、来るまでは。
午前午後合わせて6時間にも満たない工程でしたが、帰り際、農家の方が「ありがとう」と笑顔を下さったのが心に染みました。
また、畑が使えるようになるといいね…一日も早く。
終了後、バスは津波で壊滅的な被害を受けた荒浜へ向かいました。
実は出発前まで、仙台市若林区と聞いて、自分は正直ビビッていました。
なんかヤな感じがする…と思った場所はたいがい「あそこ、心霊スポットなんだよね」と後になって聞かされたり。
ちょうど一週間前の夜にも、相方と後輩を車に乗せて走っていたとき、変なおじさん(志村けんではない
)がいきなり前を横切ったので「アブねーっ
」と叫んだら、二人が「何が?」と目を点にしたり。
見てはいけないものを見たり感じたりすることが多々あるので、「荒浜に寄ります」と聞いて、ちょっとどころかかなりビビッていたんです。
確か、二百から三百の遺体が発見された場所では…自分の精神が持つんだろうか、と。
…そんな考えがいかに浅はかだったかと、着いた瞬間に思い知らされました。
破壊されたガソリンスタンド。
住宅街のあった場所。
激しく損傷した道路。
最初のガソリンスタンドを目にした瞬間から、涙が溢れて止まりませんでした。
あまりのショックに、息が苦しくなるほどでした。
めちゃくちゃになった小学校の体育館、校庭に積み上げられたバイクの残骸…
ところどころ工事をやっている他は、人もいない、何もない町…
そこにあったのは、強烈な悲しみ。
どうにもならない感情。
テレビで見ていたうちは、別世界のように思えていた。直接被害を受けたわけでないから、実感がなかった。
何を怖がっていたのか。何て自分は、浅はかだったのか…
あれから一年以上経っていても。
この町の時間は、あの日から止まったまま。
悲しみだけが、漂ったまま。
帰りの仙台駅で同僚に電話でこのことを話したら、「ニュースでやらなくなったから復興は順調なんだと思ってた」という言葉が返ってきました。
私も、そう思ってたんだよ。
連休前、仙台戦で来たときに、震災の爪痕がそのまま残っているのを見るまでは。
宮古に実家がある上司に、「何も変わってない。そのまんまだよ」と聞くまでは。
だから今回参加したのだけれど。
でもここまで酷いとは、微塵にも思っていなかった…
ボランティアリーダーの方が話されていましたが、マスコミが報道しなくなってから、手伝いに来て下さる方の数が減っているそうです。
人手が足りなくなって閉鎖したボランティア事務所も増えているのだとか。
今回お世話になった「リルート」さんでは、団体・個人問わずボランティアの受け入れをしているそうです。学生さん主体のグループですが、非常にエネルギーのあるしっかりした方々です。
なにもその為だけに生きるのではなくて。
自分の出来る範囲で、構わないと思うのです。
私も、サッカーの日程を外しての自分勝手な都合でした。でもそれでいいと思うんです。出来る範囲での、力添えで。
世の中には批判家というのがいて、それで周囲をコントロールしようとする人間がいます。
「そんな心構えで」
「仕事休んでまで」
「偽善だろ」
まぁ、言う人はいました。
何もしないで高い位置から物を言うほど、楽なことはない。その流れに巻き込まれて、安心して生きていきたい人もたくさんいる。「行きたくても言われるから行けない」と。同僚もそうでした。
だから、そこはいいんです。
みんな自分が正しい。間違ってると思って生きている人間なんかいない。だから、自身がしたくないと思ったことは、それはそれで正しいのだと思う。
「募金してるから」
「買い物してるから」
そう、やり方も人それぞれです。わかります。
ただ、人手が足りない。
それは現地からの生の声です。
3.11のあの日、日本中が感じた想い。それがまだ、心の片隅にでも残っているのなら。
If you want
もし、よろしければ。
あなたのその手を、被災地へ差し伸べて下さい。
そして。
If you want
もし、よろしければ。
差し伸べた手を、どうか受けとめて下さい。
あなたの生活に笑顔が戻りますように。きっと幸せが訪れますように。
また伺わせて頂きたいと思います。
がんばろう、仙台!