今日は、ずっと書きたかった、先週放送の「KIRINサッカースペシャル 日本中が泣いた!愛と奇跡の感動物語」の話を。
内容は、日本代表メンバーを中心に、一人あたり5分程度でそれぞれの人生を映し出す、というものでした。
プロサッカー選手とはいえ、けっして順風満帆な生き方ではなかったこと、そして、苦境の中でもメゲずに夢と向き合ってきた姿勢を、ドラマとインタビューで綴っていきます。
中澤選手のあたりからウルウル来て、ナオさんの巻ではついに号泣してしまいました。
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2005年9月17日。
試合中の石川直宏を襲った、突然のアクシデント。
右膝前十字靭帯損傷。全治8ヶ月――
手術後の過酷で長いリハビリ生活の中、石川の脳裏を幾度もよぎった、「このまま自分は忘れ去られてしまうのではないか…みんなの記憶から消えてしまうのではないか……」という不安。まとわりつく、「絶望」の二文字。
世間はワールドカップイヤーに突入。自分が出るはずだった舞台を別世界に感じ、空虚さはますます強くなってゆく。
今にも折れそうな心を抱えながら過ごしていた、そんなある日… テレビで、FC東京の試合中継を見ていたときのことだった。
ふと画面に映ったサポーター席の横断幕に、石川は思わず目を奪われ、激しく心が揺さぶられる。
【俺達はナオを待っている】
疑いようのない自分へのメッセージ。短い言葉に、強烈な優しさと眩しい希望が凝縮され、一直線にぶつかってくる。
瞬時に、迷いや不安は消え去った。
「もう一度プレーしている姿をみんなに見せたい」
その思いだけを胸に、失意のどん底から立ち上がり、ただひたすらリハビリをこなし、そして……
305日ぶりに、やっと、光で照らされたピッチへ。焦がれ続けていた場所へ。
復帰を果たした試合で、ふたたびあの横断幕を目にしたとき、その汚れ具合から、ホームでもアウェーでも掲げていてくれたことを知った。サポーターは、自分を忘れ去るどころか、この日を願い続けていたのだ、ということも。
【俺達はナオを待っていた】
語尾を置き換えたメッセージが、熱い歓声に溶けて心に響き、それは、サポーター想いの彼の原点となる――――
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当時の私は、代表戦は観るけれど、FC東京に関しては、頂き物のチケットで時々観戦する程度でした。今のように傾倒もしていなかったので、ナオさんの怪我にしても、リアルタイムでは知らないわけです。
でも、だからこそ、この番組を第三者に近い立場で観られて、「あぁ、サポーターの気持ちは、ちゃんと選手に届くんだな、伝わるんだな」と感じました。
そして、ナオさんを奮い立たせた東京のサポさん方と、今、一緒に応援できることに、強い感動を受けたのです。素晴らしい方々の中に混ぜて頂いているんだ、と。号泣してしまったんですよ。
昨年、柏戦でナオさんがやはり大怪我をしてしまったとき、みんながみんな、自分のことのように落ち込んで……復帰した開幕戦では、スタジアムを揺るがすような大歓声で喜んで。
サポーターは選手のために。
そして、選手も、サポーターのために。
素晴らしいです。
少し逸れるかもしれないですが、これが身内だけでなく、相手に対しても優しくできればなぁ……というのが、自分勝手な理想ではあります。
ゴール裏にいると、野次のスゴさに「え〜?」と感じることもしばしばなので。
たとえば、相手チームの選手が倒れたらブーイングではなくて、起き上がったときに拍手を送るぐらいの心意気なら、最高ですよね。昨年の天皇杯、カマタマーレ戦のときがそんな状況でした。すごくいい雰囲気。
しかし、そんなことを言いつつも、先日の浦和みたいに、なんてことない場面ですぐに転がったりすると……やはり面白くないわけでして。
まして、ビハインドの試合中はイキリ立たっているから、冷静にもなれない。
見極めが非常に難しいところですね。
とにもかくにも、理想も現実も腹のうちもすべて引っくるめて、よりよいサポーターになれればいいな、と思う今日この頃です。あの感動をくれた方々に、少しでも近づきたい。
次は土曜日、セレッソ大阪戦。
モニさんとの対決も楽しみです。